能へ。その一歩@芝大神宮祈祷殿

ちゃんと全部書くと、

能楽鑑賞講座 花の道しるべ 東京編
「能へ。その一歩」
第2回 能の感情表現

(長い・・・。)


観世流シテ方九皐会所属)の佐久間二郎さんによる、能の解説講座でした。
他には、坂 真太郎氏(シテ方)、小野寺竜一氏(一噌流笛方)。
6ページもある、充実したパンフレットを頂きました。


能とはなにか、能の構造、所作(実演)、笛について、面について、実演(「松風」「海士」「葵上」「鉄輪」)という内容。


入ってみると、広い畳の座敷。
舞台は紐で区切られており(本物よりも若干狭い)、4本の柱の名前を書いたものがそれぞれの位置に。
部屋の片隅には「鉄輪」で使うとう、唐織が2着、衣桁にかけられていました。
あんなに間近で観るのは初めてです。
すべて刺繍で、重そう、そして、豪華。(感想の順番が間違ってます)
触ったら・・・怒られますよねぇ、と思い、我慢。


話の内容は、聞いた事があるようなことが殆どなので、割愛します。
(ワークショップ行きすぎ?いえ、そうでもないです。)
ところで、何となく・・・今までに伺ったワークショップの類いに比べると、年齢層が若干上のような気がしました。
(ウェブ上で告知を行なっている割には、私がネットで検索して見つけた、と言うと驚かれたりしましたが。)


面白かった話をいくつか。


能の表現は逆説的
だ、と。
感情が高まってくるほど、動かなくなる。
(現実的にも、テンパって、フリーズしたりしますが。そういうこと?)
杖を打ち振るったり、足踏みしたりしてるのは、まだまだなのだそうです。
お酒を酌ぐのでも、扇を下から上へ動かす事によって表現するとか。
桜の花も、下から上へ扇を動かして、散っているように見えるとか。
意識してませんでしたが、別に違和感なく自然に見えてますよね。


面をいくつか見せて下さいました。(『秘蔵の面大公開』だそうです(笑))
翁・猩々・顰(シカミ)・橋姫・生成・般若・小面・泥眼。
笑っている面というのは、翁と猩々だけだとか。
最も多く(古く?)作られた面は、神と鬼。
祝祭から成り立っている芸能だからですね。


鬼には3段階あって、生成(橋姫・生成)→中成(般若)→真成(蛇)で、最後の「蛇」というのはもうすっかり人間ではない、突き抜けた表情なのだそうです。
(実は『からくりからくさ』にあった、この鬼面の話から、能に興味を持ったんですよ)
橋姫、生成は顔が赤く塗られていて(「鉄輪」の丹を塗って鬼になる女なので)、鬼とは言え、まだ人間、表情も生々しく、エグいです。
(生成は・・・ちょっと引きますね。)
ちなみに泥眼は、「鬼予備軍」だそうです。(笑)


佐久間さんは、7月23日に矢来能楽堂で行なわれる若竹能の「鉄輪」のシテをなさるということで、夫と新妻(の人形)をシテが打つ直前を演じてくれました。
・・・いいとこ取りで寸止めって、ドラマや映画の番宣と同じ。(笑)
そんな術中に見事にはまり(笑)、チケットを購入。
(参考:かんぜこむ | 能を観る、知る、学ぶ / kanze.com


余談ですが、この若竹能のチラシの写真、最初見たときからなにか違和感というか、不思議に思っていたのですが・・・シテが屋外にいるんです。
合成でなく、ちゃんとロケ撮影をしたのだそうです。
通常の能会のチラシって、過去に演じた舞台写真で、役者が違っていたりもするのですが、わざわざ撮った(最近は増えてますけど)、しかも外、ていうのは斬新です。
樹の陰から杖を振り上げるシテ、恐すぎます。(泣)


佐久間さん、お話慣れているな、というように思いました。(プロフィールにも特技として、人前で話すこと、とありますが。)
かつ、感覚が、若くて、楽しかったです。