途切れた言葉
- 作者: 鷺沢萠
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2004/05/29
- メディア: 単行本
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タイトルにあるように、「名前」をキーワードに、主人公がアイデンティティについて考える短編集です。
ただ、最後2作品は執筆中に亡くなった為、「未完」となっています。
この方の作品には、在日コリアン2世、3世といった人が主人公として多く出てきます。
日本で生まれ育ち、日本の教育を受け、と同時に家庭内には(やや古めの)韓国の風習が残っており、「韓国人」として育てられる。
けどハングルも知らず、韓国へ行った事も無い。
そういう、人達。
名前って、アイデンティティそのもの。
韓国名なのか、それも日本語読みか、韓国読みか、それとも通名(日本名)で生活するのか。
そんなことで、自分が分裂して、何者か分からなくなる。
日本では外国人(それもちょっと特殊な)扱い。
韓国へ行ったら、日本人扱い。
中途半端な存在だと、悩む登場人物達。
私も、ちょっと考えさせられました。