第18回 響の会@宝生能楽堂

水道橋駅から能楽堂までの流れの平均年齢が低い・・・坂の上のお嬢様学校の見学会でもあったのかな?
能楽堂内も若かったです。
高校の制服とか。
大学生っぽいグループとか。
学校で教えてるんでしたっけ?

能『清経 恋之音取』
シテ(平清経)	西村 高夫
ツレ(清経ノ妻)	長山 桂三
ワキ(淡津三郎)	宝生 欣哉
笛	一噌 仙幸
小鼓	大倉 源次郎
大鼓	柿原 弘和

舞囃子『菊慈童』
観世 銕之丞	
笛	藤田 次郎
小鼓	田邊 恭資
大鼓	柿原 弘和
太鼓	桜井 均

狂言『箕被』
シテ(夫) 野村 万作
アド(妻) 石田 幸雄

能『野宮』
シテ(里女/六条御息所)	清水 寛二
ワキ(旅僧) 宝生 閑
アイ(里人) 野村 萬斎
笛	藤田 六郎兵衛
小鼓	成田 達志
大鼓	亀井 広忠

(後見・地謡は省略)


能『清経 恋之音取』
いや〜、『清経』見るのは3度目ですが、眠らなかったのは初めてです。(爆)
ではなくて。
「恋之音取」て小書、いいですね〜〜〜。
ずずずいっと笛方が前に出てきて、橋掛かりの方を向いて。
笛の音に、導かれるというか、操られるように、引っ張られるように出てくるシテ。
音が途絶えると、歩みも止まるのが、妙に素直。(笑)
一噌仙幸の笛の音で、頭の中に絹糸がシュルシュルッと流れ込み、ぶわーっと一杯になってくる。
笛とシテと、ツレ(妻)のトライアングル。
これは、正面か中正面で見るべきだった!


んが!恍惚としていたのはここまで。
(多分)初めて見るシテですが、不思議とメタリックな声にちょっと驚き。
更に、妻の「わわしさ」に驚き。(←狂言じゃないって)
もともと役割的にしっかりした、気丈な女ではあるのでしょうが、悲しみが大きすぎて、辛くて形見も受け取れず、幽霊にも当たらずにはいられない、という感じではなく・・・。
例えて言うなら。
長期の海外出張から帰って、お土産を出そうとする夫に、玄関で姑の愚痴を言う感じ?
わくわくと家に帰ってみれば、いきなり現実に引き戻されたみたいな。
橋掛かりまでは、紗幕の向こうに見えていたシテが、フルカラーの実体として出現した感じです。


シテも、装束がイマイチ貧相に見えていた(烏帽子も倒しすぎなんじゃ?)割には、語りも舞いも強かったのが・・・妙にアンバランス。
面白かったですけど。


囃子方、すごく良かったです。
笛は、上記の通りの、喪服の上の真っ白な割烹着のような清潔感。
「場」を盛り立てる、誠意ある大小の存在感。


『清経』って、面白かったのね・・・。(苦笑)


舞囃子『菊慈童』
こう言っちゃーなんだが、銕之丞にとても似合っている曲だと思う。
銕之丞の稚気というか・・・中国の童子の人形みたいなヴィジュアルと、成熟した色気の同居が。(←適当な事言ってます)
菊慈童って、まんま、こんな子(!?)かも、なんて。


狂言『箕被』
そうそう、狂言の「わわしい女」って、こんなんだよねー。
なんて思いながら、うとうとっとしたら、終わってました。
すみません。


能『野宮』
六条御息所って、私には不可解なキャラです。
何だって光様は、あんな年増女と・・・キーッッなんて言ってたら、枕元に立たれそう。(笑)


そんなのもあって、あまりよく分からなかった、というのが正直なところ。
正先に置かれた、小柴垣(?)の作り物の、内と外は、どっちがどっちなんだろう?
脇正面に座っていた私からは、シテもワキも、こっち側にいるんだけど、正面からみると、あっち側に見えるのだろうし。
どこに居て、話してるのだか?
途中、それがくるりと入れ替わった気がしたりも。(『間違いの狂言』みたいに?)
不思議ーな感じでした。
後シテは・・・装束のセンス(オレンジの大口+紫の長絹)が私には受け入れられませんでした。(苦笑)
やたらと気が散って、謡も素通りしていってしまいました。
舞の部分はキューッと意識がシテの上に収束していったのですが。


先の『清経』メンバーと打って変わって、個性派揃いのお囃子方
藤田六郎兵衛の色っぽさ、分かった気がします。吹き込む息と、笛の音が、多重音声のように聞こえる!マリリンモンローのため息!?(←あくまでイメージです)
大鼓のサポートと見せかけて、実は裏で手綱を引いてるんじゃ?という感のある成田達志の小鼓。破ノ舞、壮絶に上手い!と思いました。
亀井広忠の袴は藤色でした。(何のチェックだか・・・)


後で気付いたのですが、同人のお二人、お互いの地謡もやってるんですね。
タフだ・・・。