第15回テアトル・能 東京公演@宝生能楽堂

京都の観世流シテ方、味方玄(みかたしずか)の主宰する『テアトル・ノウ』の、東京公演です!
ドキドキ。(て、私が?)

仕舞
氷室	味方 團
班女	河村 晴道

舞囃子 実盛
	片山 九郎右衛門
大鼓	亀井 広忠
小鼓	成田 達志
笛	竹市 学

仕舞	
鵜之段	梅田 邦久
柏崎道行	味方 健
大江山	片山 清司

能 舞返
シテ	味方 玄
ワキ	宝生 欣哉
間	茂山 千三郎
大鼓	亀井 広忠
小鼓	成田 達志
太鼓	前川 光範
笛	竹市 学

後見・地謡は省略しました。


いやぁ、カッコ良かった♪
おわり。


じゃ、ダメ?
だよね、ということで、もう少し。


仕舞
どれも、滑らか〜な印象。まろい、というか。強い曲も、一枚ベールをかけて見える。
『班女』の謡がとても良かった。色っぽ〜〜〜い、のね。
あと、『大江山』の片山清司に、またもや目がハート。(←バカファン)
ベールの下は日本刀だろう、というようなシャープさと、「正しさ」を感じます。


舞囃子『実盛』
濃厚緻密でした。曲自体もそうなんでしょうけど。能1番観たような充実感。
山九郎右衛門の小柄な体の中にぎっしりと『実盛』が詰まっていて、爆発しないようにコントロールしながら放出しているような。(←リアルに想像すると恐い)
または、汗とか呼吸とか、扇の先とかから、じわじわと『実盛』が滲みでているような。(←やっぱり恐い)
若手実力派の囃子方の音が、妙に素直に聞こえました。


能『融 舞返』
なんだかんだと、『融』には縁があります。好きな曲ですけれども。(なんたって囃子がカッコイイ)
印象は「若いっ」。そもそも若い役者ですけれども。芸が甘いというのではなくて。
前場は老人のはずなのに、う〜ん、若者のようで。恨みや後悔をつらつら述べるために現れたしょぼくれた霊(笑)ではなく、現役のマッチョ(じゃなくてもいいけど)オヤジが変装してワキをからかっているような。
昔を懐かしんでず〜んと沈み込んだり、かと思うと得意げに(?)名所の説明をしたりと、テンションの上下が激しいのが、そう見えた要因かも。
それだけ、シーンの切り替えが上手い、ということでもあるのですが。
後シテは、ひたすらカッコ良かったです!これが本当の姿!!と強烈にアピール。
ボンボンでも、狂人でもなく、やっぱりちょっと現代的でオシャレなお兄さん。
強くたくましく、すっきりとした舞でした。飄々と舞い終わって、息も乱れず!
(けれど、感想というのは本当に人それぞれで、いかにもおっとりしたお公家さんのようだった、と話しているのも聞こえたり。)


ラスト、「名残惜しの面影」て、ワキが橋掛かりに歩み寄るのに、1つ発見。
最初に見たのが仕舞だったからか、融自身が名残惜しいと言っているのだと思っていたのですが、今回観ていて、やっとワキの気持ちなんだと気づきました。(今更です)
ついでに、その名残惜しさというのが・・・恋心?にも見えて、ちょっとドキドキ。(笑)


竹市学の笛、良かった〜〜〜。音が色っぽくなってきた?目つきの鋭さは変わらずですが。更に丸坊主で・・・道で会ったら避けてしまいそうです(笑)。
成田達志って、見かけによらず(?)負けず嫌い?大小の連打合戦、聞いているこちら側の方が先に音を上げそう。
亀井広忠の手は一体どうなっているのか?鋼で出来ているんじゃないか??連打合戦もそうだし、あのスピード、もう、目の前がクラクラしてついて行けない(笑)。
太鼓の前川光範、こちらも京都の若手。撥を構える姿が凛々しくて、声もいい。そして丸坊主
この4拍子が並んだ姿は、なかなか目に楽しかったです・・・特にヘアスタイルが。(爆)
こんな若手個性派(!)の囃子方の音を、くるくるっと一手に絡げて、自分の周りに居心地良く巻きつけていくように舞う味方玄も、只者じゃありません。


『融』の解釈としては、う〜ん、賛否両論ありそうな。
「味方玄の能を観る」という点では、満足です。
なんてったって、カッコ良かったし♪(←バカ)