国立能楽堂1月特別講演@国立能楽堂

鏡餅

今年に入ってからカテゴリ「能楽」ネタばかり書いておいて何ですが(笑)、今年初の観能です。


ロビーには立派な鏡餅
海老は本物だろうか・・・触っていいかなぁ・・・と、辺りを見回してしまった。
(写真はOKをもらいました)

能 養老 水波之伝 (観世流)
シテ(老人/山神)	関根 知孝
前ツレ(男)	坂井 音隆
後ツレ(天女)	武田 文志
ワキ(勅使)	福王 茂十郎
ワキツレ(従者)	福王 知登、永留 浩史
笛	松田 弘之
小鼓	幸 正昭	
大鼓	河村 大	
太鼓	前川 光長	
	
狂言 寝音曲 (和泉流)		
シテ(太郎冠者)	野村 萬	
アド(主)	     野村 万蔵	
		
能 誓願寺 (宝生流)	
シテ(女/和泉式部) 田崎 隆三
ワキ(一遍上人)   森 常好
ワキツレ(従者)   舘田 善博、森 常太郎
アイ(所の者)    小笠原 匡
笛	藤田 次郎
小鼓	住駒 幸英
大鼓	安福 建雄
太鼓	金春 惣右衛門

(後見・地謡は省略しました)


さて、感想なのですが。
言い訳しておきますと、今年ものっけから、公演セレクションの動機が不純(だらけ)でして・・・。
本日のお目当ては、大鼓方の河村大!(のみ!!)
なので、おシテも、他の番組も分からないまま、座っておりました。(苦笑)


養老 水波之伝
孝行息子が水を汲むと、それが酒になったという、養老の泉伝説をネタにした、おめでたい、お正月によく出る能です。


余談ですが、養老の滝って、小さい頃よく遊びに連れて行ってもらった、馴染み深いところです。
・・・あ、居酒屋じゃなくてね。岐阜県の、本物の滝のことね。
能の題材になってると知ったときは、ちょっと嬉しかったり。


途中の詞章に、
「行く川の流れは絶えずして。しかも元の水にはあらず。流れに浮む泡沫はかつ消えかつ結んで」
て、『方丈記』by鴨長明ですよね?
人の世の虚しさを愚痴ったエッセイと、御世を言祝ぐ能とは、テーマが矛盾する気がしますが、水つながりってことなのでしょうか。
単に、当時のベストセラーの引用?
神舞直前に、いきなり弾けたように、囃子がアップテンポになったのは、面白かった。
謡は「拍子を揃えて音楽の響き。」・・・なるほどね。


期待していた大鼓は、朝からの雨のせいか、やや調子が下がり気味だったのが残念。
河村大の、明朗ですっきりと潔い音(掛け声)は、こういう脇能に合うなぁ。
めでたいめでたいと、囃子ばかり聞いていた気がします。(苦笑)
笛は松田弘之でしたし♪


寝音曲
演者が出てきてから初めて、「あ、萬さんだ♪」(笑)
酒を飲むシーンなんか、ホント美味しそう。
お正月もこんな風に楽しくお酒飲んだのかしら、なんてどうでもいいことを思ったり。
以前大蔵流で見た時は、声が出ない部分は、文字通り声を出さずに口をパクパクさせていましたが、今回のは、音痴に(?)がなりたてるようにして謡っていました。


起きたまま謡い舞うのは(能『海人』の球取りの場面)、見事で、そのまま見続けていたいくらいでした。
主に突っ込まれて、追い込まれてしまうのですが。
もう、主、邪魔するなよっ!(笑)


主(万蔵)が太郎冠者(萬)に「幼き時より召し仕えているそなたの声を分からぬ訳は無い」というようなことを言うのですが、子供の萬に赤ちゃんの万蔵が命令している図を想像して、笑っちゃいました。(←それでも無理があるってば)


誓願寺
和泉式部のお話らしい・・・。
すみません、ちゃんと見てませんでした。
前半はウトウト、後半は、ぼーーーと眺めるのみ。(後場なんてそもそもストーリも何もないですが。)
天女のロングヘアーが、ロビーに飾ってあった鏡餅の、長〜く垂れた昆布のように見えてきました。(←その程度の集中)
宝生流とはあまり相性がよくないようです。




字幕システムを使ってみました。
折角なので(?)英語で。
天女の舞=「angel’s dance」
和泉式部の事=「woman of love」
だったりして、なかなか楽しめました。(←ポイントがズレてる)
詞章だけでなく、あらすじや、今がどういったシーンか、出立の説明なんかも出てきました。(といっても、「これが天女の典型的スタイルです」くらいですが)
また、狂言は、日本語だと、あらすじが時々出るのに対して、英語は台詞部分も表示されてました。
なので、英語表示の方がお得です!!(←やっぱり、ズレてる)


ディスプレイ自体はそんなに光量もなく、隣のものでもうっすら、その隣になるとほとんど見えなくて、邪魔にはなりませんでした。(前方のは目に入りますが)
また、そのせいか、見所の照明が暗めだったような・・・。
でもやっぱり、字幕を見てると舞台は見れませんね。
舞台に集中してしまえば、字幕はどうでも良くなるし。
「演者が帰っていくのも演技のうち」という説明があった為か、囃子方が幕に入るまで拍手が起きなかったのは、こういう公演にしては意外でした。(早々に起こった数人の拍手は立ち消えました)
・・・と言っても、点けている人はほとんどいないようでしたが。