能楽現在形第2回公演@宝生能楽堂

正式名称は『幸弘☆萬斎☆広忠☆能楽現在形』
(☆は、某娘。の「。」くらい大事なのだ!)(←勝手に言ってます)
本当は、現在進行形にしたかったらしい。(アフタートークより)
長いってば。


1回目は、行きたくても行けなかったこの会!
行っちゃいましたよ。
ミーハー魂全開か?(笑)

一調『張良	
	宝生 欣哉	
太鼓	金春 惣右衛門	

舞囃子『野守』	
	大島 輝久	
笛	一噌 幸弘	
小鼓	成田 達志	
大鼓	亀井 広忠	
太鼓	金春 惣右衛門
	
能『井筒』		
シテ	狩野 了一
ワキ	宝生 欣哉
アイ	野村 萬斎
笛	一噌 幸弘
小鼓	成田 達志
大鼓	亀井 広忠
地頭	友枝 昭世

(後見・地謡は省略しました)

もう、もう、ミーハーなんてものじゃなくて。
真摯な希望の、上質の会でした。


一調『張良
そういえば今年最初に見た能は、欣哉さんの『張良』だったなぁ・・・運命?(笑)
ワキ方の謡を聞くのは初めて。
いつも頭巾や冠をつけているので、素顔(素頭?)を見るのも新鮮。(というか、出てきたとき、誰だか分からなかった)
張良』のスペクタクル・ファンタジーな詞章自体も面白いし、太鼓のリズム感でノリノリ、あの独特のしゃがれ気味の声も意外に聞きやすい。
シテ・ワキの謡と、地謡パートの謡い方が違う!(特にワキはいつものワキだ!)
シテ方のだと、シテ謡も地謡もあまり区別なく聞こえてたけど。


張良、天晴れ!


舞囃子『野守』
宝生能楽堂って、音がいいですよね〜。
最近ご無沙汰だったので、改めて思いました。
そんなロケーション。
囃子方はご贔屓揃い、シテはお気に入りの大島輝久さん♪
喜多流の、びしーーーっとした謡で、舞も凛々しく、力強い。(最初ちょっと力みすぎに見えましたが)


広忠さんの、パンパンに張った、痛そうな大鼓の音・・・それがまた気持ちいい!もっと!って、残酷な気持ちになってしまう(笑)
小鼓の成田さん、ソフトな真珠っぽいイメージだったのが、ドラゴンボールに変更。ぺカーって発光している珠です。(←ドラゴンボールって光ってるっけ?)
幸弘さんは真っ赤になって、縦横無尽に吹いているし。
太鼓は金春惣右衛門、華やかなのに着実な粒が、舞台に金箔を降らすみたいだよね。またはマキビシ(笑)。伊達に、いつも身代わりを座らせているわけではない。(←関係ない)
大島さんもかなりの声量のある方なので、もう舞台はうるさいくらいで・・・皆負けず嫌い?(笑)
気持ちよく音に浸ってきました。


能『井筒』
今年3回目の『井筒』。
金剛、観世、喜多と、流儀は違うが、共通するのは広忠さんの大鼓(←偶然です・・・多分)
それぞれ、受けるイメージが違うんですよねぇ。


狩野了一さんのは・・・控えめで、いじらしい「待つ」女。
でもって、恥ずかしがりやさん。
可愛かったなぁ・・・。
こんな霊なら、毎晩出てきてもいいよ、なんて。(笑)
面は、何だったのかな?
すぅっと、一見冷たいように見えるけれど、おっとりとした性格の、大人なんだけれど、少女の可憐さも併せ持っている。
いわゆる美人じゃないけど、きれいな空気の人。
好みだわ〜。
こんな面なら、毎晩・・・以下略。(笑)


囃子は、先ほどの舞囃子とうって変わって、抑えた、静謐な音。
でもね、こっそり、予感というか、秘めたるマグマを感じさせる。
イタズラっぽさ、とでも言うのかな。
(関係ないけど、大小が床几に掛ける時に、タイミングを合わせるために顔を見合わせるのが、「よろしく」と言ってるみたいじゃないですか?「負けるもんかっ」って時もありますが。)


気持ちいい、序の舞。
目が。
耳が。
シテと囃子の駆け引きあり。
笛と大鼓の駆け引きあり。
業平の狩衣(長絹)と冠を身に付けての舞は官能の極致、なんて言われたりしますが、不思議に色気は感じませんでした。
清潔感かな。
一瞬だけ見せる欲望の高まりが、井戸を覗くシーン(←鳥肌ぞわわわわ)で、それも直後に恥ずかしくなって、うずくまってしまう。(←胸きゅ〜ん)
信じることしか知らない、純真無垢な少女のイメージでした。
こんな舞なら、毎晩・・・・・・・・見たら・・・廃人になってしまう。(笑)


いい能でした。



おまけ
アフタートークというのがあり、プロデューサーである土屋恵一郎氏と、会の同人3人に、シテ方お二人が終演後舞台に登場し、かなり面白い話が飛び出しました。
「ゆきちゃん」「ひろちゃん」の仲(?)がバレたりとか。
感想を聞かれ「まだまだだなぁと思いました」と反省し始めるO師だとか。
舞台直後に引っ張り出され、しきりに恥ずかしがる喜多流一のイケメンK師を見られたのも貴重でした。(←イニシャルの意味なし)


土屋さんが言うには能楽師は、師匠は超えられないが、親は超えることができる」のだそうです。
同人3人はいずれも偉大な父を師匠に持つ、ぜひとも乗り越えて欲しい、と。
そして、今の若手シテ方、特に30代(前半?)に、有望株が多いのだとも。
けれど、シテ方年功序列で、なかなか大曲を演じるチャンスがない。
そこで、有望な若手を招いて、大曲に挑戦してもらう、というのが会の趣旨のようです。(←曲解かも?)
実際、狩野さんの『井筒』は今回が初演でしたが、広忠さんは今年だけで13回目だとか。(←それは多すぎだと思う)
シテ方中心の能楽界のシステムに逆らってますが、それも人気・実力とも兼ね備えた3人だからやれるのでしょうね。
更に、先日の『山本会』での『翁』披きといい、自身の会でなく、招かれて大曲を演じられる、狩野さんへの期待と信頼の大きさは明らかであり、十分それに応えていたと思います。


おまけのおまけ
ウワサには聞いていた、「ゆきちゃん」のダジャレ・・・・・・・・・。
あれさえなければ・・・・・と嘆くファンの気持ちが分かりました。(笑)
ついでに「ひろちゃん」のファッションチェ〜ック。(笑)
ピンク→紫→黄と、袴をお召し変え。曲によって決めている?それともかなりの汗っかき??