獅子虎傳阿吽堂vol.3@世田谷パブリックシアター

今回で3回目となる、能の大鼓方亀井広忠さんと、歌舞伎囃子の田中傳次郎さんご兄弟による、邦楽レクチャー&コンサートです。


今回は、能と歌舞伎と、同じものを比べる、という趣向で、それぞれの囃子の「カケリ」「カッコ」の素囃子を、また、ゲストとして、能からは観世流シテ方の観世喜正さん、歌舞伎からは市川段治郎さんと市川春猿さんが登場し、色々させられて見せて下さいました。(笑)
喜正さんは、「三響会」に1回目から出演しているという間柄、段治郎さん、春猿さんは、養成所で「優しいことで有名な」田中佐太郎さん(広忠・傳次郎ご兄弟のお母様)に「とても優しく」ご指導頂いた、というご縁なのだとか。
・・・いいんですか、そんな事言って、客席にしっかり座ってらっしゃいましたよ。(笑)


内容をざっと。
基本的な動き・型(歩き方、笑い方、泣き方)、歌舞伎の見得、舞などを、能、歌舞伎の男(段治郎)、女(春猿)とそれぞれ実演。
能の謡(『井筒』『高砂)、歌舞伎の名台詞(『青砥稿花紅西彩画(白浪五人男)『三人三吉廓初買』『伽羅先代萩)。
能と歌舞伎に共通する演目として、『安宅』の「勧進帳を能と歌舞伎の、それぞれの謡と囃子で。
最後に、能の『熊坂』を、喜正さんの謡で、歌舞伎のお2人が舞う、という、混合バージョン。



能と歌舞伎と交互に比べながら見せるというレクチャーは、とても分かりやすい。
舞台だけでなく、客席の集中力というか、空気の密度も、くるくる変化した気がします。
能の方が、より、圧迫感があるような・・・。(決して歌舞伎が「軽い」のではなく。上手く言えませんが)
能と歌舞伎のリミックス、合うのか?と聞かれれば・・・・・・合いません(きっぱり)・・・・が、面白かったです。
能の謡に乗った、しなやかな歌舞伎の動きは、人形劇みたい。
喜正さんの演技を見る歌舞伎のお2人の視線が、ビームのようでした。(笑)
見得って、目玉をぎょろりとさせて、顔をゆがめて、なのにカッコイイのが不思議。
女形の見得というのも、あるんですねぇ・・・色っぽ〜〜い。(春猿さんて、キレイですね〜。)


そして今回も問題発言は色々ありました・・・いやフツーの会話、なんですけどね。
ポロッと、あまりにも普通の人っぽい感想を言うので、おかしくなっちゃいます。
歌舞伎の名台詞の時に、「澤潟屋(おもだかや)」と、掛け声を広忠さんがかけたのですが、イマイチ。(能の掛け声は素敵なのに・・・て、全然違うモノだけど)
その後に傳次郎さんがかけた掛け声は、タイミングも、雰囲気もバッチリでした。


まとまりなく書きましたが・・・。
やっぱ能の方が好きかな、という毎度の結論です。
あ、でも歌舞伎も一度ちゃんと見てみたいとは思ってます。