苺って、香りが強いですね。
冷蔵庫を開ける度に、甘酸っぱい香りが鼻を突きます。


春になったら莓を摘みに (新潮文庫)

春になったら莓を摘みに (新潮文庫)


作り上げた世界だけを見ていたい、という意味で、表現者(作家・画家・役者など)のエッセイや自伝などはあまり読みません。
特に“物書き”は、文字そのものが、イコールその人ですから。
言い換えると、実生活には興味がない、というか。
作家個人とその表象世界のリンクを求めない、というか。


それでも、気になる人も、います。
どんな事を考えてきたのか、とか。
何が好きなのか、とか。
一種ミーハー的興味なのですが。


梨木香歩さん。
以前も紹介した、『裏庭』や『からくりからくさ』の著者です。
その物語を読んだ時も思ったのですが、とても私の感性に沿っています。
私が何かを書くのなら、こんな風になるのだろうな、というような。
とても不遜な事を言ってますね。
(実際、とても驚きました。というか、やられた、と思った。もう一人、小川洋子さんについても、そうでしたが。そちらは文体で。)


で、このエッセイを読んでみて、確信。
この厄介さは、私には馴染みのある感覚。
色々なものに目を向けているのに、結局一つの事に収束してしまう、頑なさ、とか。
意思が強い、というのとは違う、自分でも呆れてしまう、こだわりの強さ。
居心地のいい人に囲まれていても、そんな自分を許せない、感覚。


考え過ぎかな?


読み応えのある、エッセイ(そもそもこの語感が軽くて好きじゃないんだ、きっと)でした。