思い出

戦後60年。
思い出、というには、苦しい、悲しい記憶。
そんな、話を聞いた。


高校生の頃、1年間アメリカにホームステイをしていた。
そのときのホストファーザーのHenry。


Henryは、話してくれた。
雨の中、塹壕を掘ったこと。
熱帯雨林を走り回ったこと。
命を失った、兵士達のこと。
ヨコハマや、ナゴヤにいたこと。
子供達が、かわいかったこと。


「きっと、僕は、あんな子供達を、殺してしまった。
直接僕が手を下したのではなくても、殺したと同じ事。
大人も、子供も、男も女も、殺した。
そのことを、僕はすまなく思っている。
とても悲しく思っている。
だから今、日本人に親切にしたいんだ。」


私をとても可愛がってくれる、その背景にあんな悲しい話があったなんて、知らなかった。


「自分の力の及ばない、どうしようもないことがある。
でも、神様がいてくれるから、安心して、泣いていいんだよ。
君にはブッダかもしれないし、僕にはゴッドだけど、皆を神様が見守っていてくれるんだよ。」


とても悲しい出来事にショックを受けて、部屋で泣いていたとき、慰めてくれた。
神様を信じているって、うらやましいと思った。


なんだか、思い出した。