たいやきは頭から

先日、初めて国立劇場に行きました。
と言っても、公演を観にではなく、ぶらぶら散歩してたら、案内表示があったので、ふらふらと。
伝統芸能情報館て、ここにあるんですね。
日本芸術文化振興会「文化デジタルライブラリー」の本拠地。
(↑リンクを貼ろうと思ったのですが、プライバシーポリシーに連絡云々とあり、面倒だったので、すみませんが自力で探してください。楽しいですよ。資料はどちらかというと歌舞伎寄りの印象です。)


1階展示室で特別展示『伝統芸能の顔−さまざまな展開−』をやっていました。
雅楽能楽、歌舞伎、文楽のそれぞれの「顔」ということで、雅楽能楽は面を、歌舞伎は隈取手ぬぐい(?)を、文楽は頭を展示してありました。
また、それぞれの装束や、歌舞伎の化粧道具なんかも。
4つの古典芸能を一度に見られて、面白い企画でした。(展示数自体は多くないので、10分ちょっとで見終わってしまいますけど。)


さてどうしようかと思ったところに、目に入ったのが「第5回伝統芸能サロン『歌舞伎の化粧』」の告知。
時間もちょうど良かったので、行ってみることに。
受付で渡されたレジュメには化粧道具の名前と用途がぎっしり。
どうやら、国立劇場研修用教材の一部のようです。
<鬢付>とか<練白粉>とか歌舞伎っぽい(?)ものがあるかと思えば、<クレンジングクリーム>なんてのも。
ああ、そもそも男の人には縁がないのか。(笑)
今回は実演をするということで、テーブルの上には化粧道具が並んでいました。(これらも研修用教材と同じものらしいです。)
実演には、なんと、客席から希望者を募るとのこと!
物好きな 好奇心旺盛な私としては真っ先に手を挙げたいところでしたが・・・いかんせんその後予定があり、すっぴんで帰るわけにはいかず・・・いや、歌舞伎メークならアリ?(笑)
実際、女性や子供(小学生?)も立候補していました。
厳選なる選抜(ジャンケン)の結果、「若女方」メークを女性に、「隈取」は男性に決まりました。


講師は歌舞伎俳優の松本錦吾氏。
国立劇場歌舞伎俳優研修の講師もしていたそうです。
自己紹介と、簡単な説明の後、着流しの袂から紐を取り出しくるくるっとたすきがけ。
さすが、さまになっていて、カッコいいです。


歌舞伎の化粧道具、今は市販の良い物が多くなってきたとのことですが、本来は各家の番頭さんやお弟子さんが作るものなのだとか。
それぞれの家のレシピがあって、番頭さん、お弟子さん同士で競い合っていた面もあったようです。(油を腐らせて云々とか、鉛を入れてとか、想像するだに身体に悪そうですが)
どうして化粧をするのかというと、昔は照明が暗かったから、白く塗らなきゃ分からないからという、必然性で。
かなり大雑把だったようです。
今は、写真や映像記録に耐え得るように、化粧が丁寧になってきているとか。


歌舞伎の化粧って、上から完全に塗りこめて描いてしまうんですねー。
分かってはいたけれど、面白いくらいに真っ白、真っ赤と塗り重ねていきました。
顔をキャンパスと考えると、彫が深いよりはのっぺりした顔のほうが変身しやすいのかな。
私もそれくらい化けてみたい・・・化け物?


最後に、記念にということで、顔に手ぬぐいを押し付けて、顔拓(?)をとっていました。
化粧が乾き始めていたので、あまりしっかり移らなかったようですが。
役者さんは、舞台の後にとるんですよね、きっと。
汗でいい感じに化粧が浮いて、移りやすくなるのかな?


時間がなくて、この後の男性の隈取の方は見られなくて、残念。
質問もしたかったなぁ。