世界中で、同時に目覚める

・・・そんな奇跡の瞬間を感じる本です。

ピエドラ川のほとりで私は泣いた (角川文庫)

ピエドラ川のほとりで私は泣いた (角川文庫)

幼馴染と12年ぶりに再会し、求婚される主人公の女性。
彼に連れられて、様々の奇跡の場所を巡るうちに、人生の「選択」の瞬間を知るようになる。
世界中のあちこちで、同じ現象が同じ時に起こるのは、単なる偶然なのか、それとも奇跡なのか?


著者のパウロ・コエーリョの作品だと「アルケミスト」を最初に読んだのですが、その時はあまりピンとこず。
(薦めてくれた友人は絶賛していたけど。私としては、冒険物語なのにやたら教訓くさいのが気に入らなかったので。)
この本も宗教色たっぷり。
しかもカトリックぽい辛気臭さと、内省的な暗さ。
幼馴染が女性を連れ廻すのも、練りに練ったプロポーズ用デートコース(?)であり、話の流れとしてもわざとらしくはあるのですが、二人(特に女性の方)が自分を縛っているものを破ろうと葛藤するのには、考えさせられるものがありました。
幸せの代償とか、万人と個人とか、奇跡と欲望とか、人間の生々しさを突きつけらたようなところも。


感動とか面白さとかではなく、考えさせられる本でした。(私にとっては。)


ちなみに、他に「悪魔とプリン嬢」とか「ベロニカは死ぬ事にした」などあり、それぞれ設定は興味深いのですが、主題はいつも同じ(=抹香くさい)で、更に後味が良くないなぁ。
なので、文庫になった「11分間」を読もうか迷い中。(気にはなるのですが。)