もしかしてホラー?

初めて読んだ小川洋子の本は、

薬指の標本 (新潮文庫)

薬指の標本 (新潮文庫)

なんでも標本にするという男のアルバイトとして雇われ、依頼者の様々の思い出話や、その建物の住人との関わりなどを、淡々と見つめる主人公。
男との使われなくなった風呂場でのデート(?)など、静かで、冷ややかな空気感があり、ちょっとエロティック。


男の世界にどんどん閉じ込められていく、追い詰められていく、でもそれは無意識に自分が望んでいることであると、主人公が妙に冷静なのがちょっとコワイかな。
・・・ていうか、このオチは、ホラーですか?サスペンスですか?
うっかり純愛小説だと思って読み始めたら、騙されました。
(スプラッタとかではないのだが。)


最近読んだ、小川洋子の本

沈黙博物館 (ちくま文庫)

沈黙博物館 (ちくま文庫)

この人自身、コレクターなんじゃないか?と思えてくる。
形見の博物館をつくりたいという、老婆に雇われた博物館技師。
老婆の家の住人や、形見にまつわる物語、その村の独特の祭り。
やはり全体に静謐感があります。
そしてまたオチは・・・「世にも奇○な物語」系。


あとは、

まぶた (新潮文庫)

まぶた (新潮文庫)

(短編集です。)
博士の愛した数式

博士の愛した数式

(比較的あっさりしてます。記憶の持たない数学者という設定。こんな映画あったような?)


肉体の一部(指だったりまぶただったり)が人から離れると、それが全くの物質と化して、体温も重さもないような、静物としての描き方をするという印象。
すべてが他人事のような世界。


結構、気に入ってる。