1/8mm

今まで読んだ事なかったなんて、我ながら意外。



さながら(いや、まんまか)アリ地獄にはまった男の話。
事実としても、砂に埋もれそうな家に捕われ、精神的にも、ずるずると埋まっていく。
繰り返し(生活・日常)の安定と安心感、それに対する発作的な恐怖や焦りや反発。
それらは、無力感や怠惰へと収束していく。
「やればできる」なんて都合のいい呪文を唱えながら、結局何もできない(しない)、過信の罠。
そんな皮肉っぽい結末に、ニヤリとしてしまう。(私もそうとう性悪だ)


思わず自分の服を払ってしまいたくなるような、砂まみれのずるずる感の伝わる、説得力のある描写や、主人公の男の偏狭な性格設定など、好みだなぁ。
カフカっぽい?


高校生の頃、同級生との会話の中にこの本(「壁」だったかも?)と安部公房の名前が出て、気には留めていたのですが、何故か読まないまま大人になってしまいました。
けど、当時は嫌悪感が勝ってしまって、読めなかったかも。
(どうしてこの本の話が出たんだっけなぁ・・・何かに似てるとかどうとかだったような・・・私、じゃないよね・・・ぇ?)